アマプラが、
「お前こういうの好きちゃうんけ?」
としつこく薦めてくるので鑑賞。
紹介によると子供の超能力がらみのホラーのようです。
という程度の事前情報だけで観始めました。
原題の“De uskyldige” も、英語タイトルの “ innocent” も “無罪”って意味だそうです。観ると「ああそういうことね」とわかります。
乗用車の後部座席に不機嫌な顔をした女の子が座っています。車内には変な短い声みたいのが聞こえます。後でわかりますが、不機嫌顔は9歳のイーダ、声は隣に座っている姉のアナのものです。アナは自閉症で喋ることができません。
窓外、山の上に団地のような建物が見えます。どうやらそこへ向かっているようです。イーダは姉の足をつねりあげたりします。何してんだこの子。退屈なのか?
家族の車は団地に着き、ここへ引っ越してきたことがわかります。
「なんか『千と千尋の神隠し』みてぇだな」と思いましたが、その後の展開は違っていました。
イーダは外に出てミミズを踏み潰したりしてます。何してんだこの子。果てしなく退屈なのか?
その後も姉にイタズラでは済まされないようなことをします。怖ぇーなこの子。
しばらくは何がどうなっているかよくわからず、不穏さが募るばかりですが、やがてイーダは同じく引っ越してきて日の浅い男子ベンと女子アイシャと出会い、一緒に遊ぶようになります。
ベンは落とした小石を弾き飛ばす能力、アイシャは弱いテレパシーというか精神をシンクロする能力があり、アナと心を通わせることができました。
以前からの住人と馴染めない四人は能力をおもちゃにして一緒に遊ぶようになります。
子供同士が仲良くなってゆく、本来なら束の間でも楽しい場面になりそうですが、ずっとずっと不穏な空気が漂い続けます。
四人の家庭はそれぞれ問題を抱えていて、時々親たちの姿が映されます。詳しい説明はないのですが、問題を抱えていることだけ嫌ってほど叩き込まれます。
遊んでいるうちにそれぞれの能力を強め、新しい能力にも目覚めた子供達でしたが、ちょっとしたことで仲違いしてしまい、不穏感はさらに高まります。
ストーリーは全然違うのに「大友克洋の『童夢』みてぇだな」と思うようになり、それはどんどん強くなります。超能力描写とか地味なリアルさの積み重ねで、なんか大友克洋っぽさを感じます。
スティーブン・キングのネチネチした描写も思い起こしましたがやっぱり「童夢味」の方が強いですね。
物事が悪い方へ悪い方へ進んでゆき、それに連れて「童夢感」も高まってゆきます。もう『童夢・実写ノルウェー版』に見えてきます。
最後、悪いことを悪い方法で解決し、不穏なまま終わります。
不穏で落ち着かない気持ちにさせる結末ですが最後のあまりにも「童夢」なシーンに「ああやっぱり「童夢」だったと安心するという不思議な余韻が残りました(鑑賞後『童夢』のラストとどう違うか確認しました)。
あと、「『童夢』っぽくなっていく」ということ以外は全く先が読めない映画でした。
今ならアマプラ見放題対象(2025年1月13日現在)なので、『童夢』好きな方もそうでない方も観るなら今ですよ。
*映画鑑賞後に確認しよう! →童夢 (OTOMO THE COMPLETE WORKS 8)
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