本当にあったカフカな話

カフカに『城』って小説があって、ある男がある城に向かって歩いてるんだけど、歩いても歩いても一向に近づけない。遠くに城の姿は見えるんだけど何日歩き続けても着かないどころか「なんか昨日より遠のいてね?」みたいなことが起きる、さまざまな解釈がある不思議な話。
まぁカフカだから。不条理上等ですね。

そんな不条理は本の中だけのことと私は思ってました。ついこないだまで。
ところが本当にあったんですよ。カフカな話が。

日曜日に行った書店である本を見かけ、気にはなったのですがその場では買わずに帰ってきました。
ところが一日経ち、二日経ちするうちにじわじわ気になり始め、金曜日にとうとうAmazonで注文してしまったのがこの本。

カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ

はい。カフカですね。
小説としてまとまったものではなく、創作用のメモやアイデアをまとめたものです。
サブタイトル(?)の「海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ」もその中のひとつ。
なんかメリメリパキパキッてあっさり踏み潰されそうな存在(たぶん自分自身)。
こんな「断片」を集めた薄めの文庫本。
ね。
欲しくなるよね?
いつも持ち歩いてなんかあったらペラっとめくって1ページだけ読んで心に沁み込ませたいよね?
ね?
込ませたいよね?

あなたが込ませたいか込ませたくないかはひとまず置いといて。
金曜の夜に発注、土曜日には到着予定。
さすがAmazon。
土曜の夜にはしみじみできるわけだ。楽しみ。しみじみたのしみ。

ところが。
土曜日に本は届かずしみじみの空振り。
でもまぁ、一日くらい遅れてもね。楽しみが一日延びたと思いましょう。

ところが。
日曜日が終わっても本は届かず、しみじみできませんでした。

これは何かが起きてるぞと、Amazonの注文履歴を見ると配送はヤマト運輸のネコポスだと。
こんなこともあろうかとインストールしておいたクロネコメンバーズのアプリを起動して注文番号を打ち込んで(コピペだけど)追跡。
すると、
「ただいま担当店にて調査を行っております」
という見慣れないメッセージ。なんだこりゃ?

何を調べてんだ担当店?

それ以外にも、
「荷物のサイズが大きい・重い、または郵便受けにお届けできない荷物です。」
なんて書いてもある。
マジか。
文庫本一冊、どんな梱包したんだAmazon。

月曜日になり火曜日になっても「ただいま担当店にて調査を行っております」のまま本は届きませんでした。
何日かかるんだその調査とやら?
と思いましたがそこでふと思い至りました。
なんかこれって……
もう着いてもいいのになかなか着かないって……
『城』っぽくね?
着かない理由の不条理感、カフカじゃね?
カフカの本がカフカの世界に迷い込んだんじゃね?

というわけでちょっと面白いと気づいたのでしばらく放置。

水曜日「調査中」
木曜日「調査中」
一向に進展が無い。たぶん遠のいている(ような気がする)。「調査中」が「放置中」に見えてくる(ような気がする)。
「なんて不条理で理不尽な目に遭ってるんだ俺は」とカフカ気分に浸ってみたり。メリメリパキパキッ(あ、踏み潰された)。
心が海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうな気がするので以下次回。

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