今年もやってきました恐怖映画の季節。
恐怖映画より怖い猛暑を避けてお家で怖い映画を鑑賞しましょう。
というわけで今回は涼しい部屋でこの映画を鑑賞しました。
『ヴァチカンのエクソシスト』“The Pope’s Exorcist”
「エクソシスト」は「悪魔祓い師」という意味だと小学校の頃に叩き込まれた世代です。悪魔を払ってくれるいい人なんですが恐怖映画で覚えた言葉だもんだから「エクソシスト」って聞くだけでもう怖い。そんな世代。
原題の “The Pope’s Exorcist” は「教皇のエクソシスト」という意味だそうです。
いきなりガブリエーレ・アモルト神父(ラッセル・クロウ)の悪魔祓いのシーンから始まります。それは必要な許可を得ないで行われたもので、後に偉い人たちにそれを非難されます。しかしアモルト神父は「あれは一時的な精神疾患で悪魔憑きではなかった」と言い逃れます。
そんななので偉い人たちから煙たがられて、足も引っ張られているようですが、教皇直属のアモルト神父は「文句があるならボスに言え」と意に介していません。
アモルト神父は気難しい人物ではなく、快活で明るく、現実的でとても好感の持てる人物として描かれているので、彼を煙たがっている偉い人たちは小狡い小人物に見えてきます。
そんなシーンと並行してある家族(母、姉、弟)がスペインの古い修道院に引っ越してくるシーンが描かれます。いかにも何か起きそうな建物です。
ホラーのジャンルに「家族が引っ越したらなんか起きる家だったもの」がありますが、これもそのひとつということですね。
もちろんこちらは本当の悪魔憑きで、じわじわ怪現象が繰り返され、弟がどんどんおかしくなっていきます。
その少年の話は教皇の知るところとなり、アモルト神父を呼び出しこう言います。
「ガブリエーレ、スペインへ行け、その少年を救うのだ」(日本語吹き替えのセリフより 以下同)
なかなかカッコいいシーンです。
教皇はこうも言います。
「だが気をつけよ。この悪魔は実に邪悪そうだ」
事前に調査を初めていた教皇はこの修道院が相当ヤバいところだと気づいていたのです。
なんかこう、期待がどんどん盛り上がってきます。
アモルト神父は問題の修道院へ急行します。白と赤の可愛いカラーリングのスクーターで。危ないところへ向かうシーンで、不穏な音楽が流れていますが、スクーターはなんか可愛い。気になったので調べたらイタリア製のランブレッタというスクーターだそうです。

主人公のガブリエーレ・アモルト神父は実在の人物で、教皇直属のチーフ・エクソシスト。その回顧録『エクソシストは語る』を映画化したのがこの映画ということです。Amazonで著書を検索したら絶版で、古書がかなりの価格で出品されていました。
映画でも触れられている精神疾患と悪魔憑きの判別についても書かれているそうで興味がありますが、高価すぎて「興味がある」程度では手が出ません。
実話を元にしているからでしょうか、悪魔祓いも手順を踏んでじわじわ積み重ねるように進んでいきます。
重厚で良いのですが、ちょっと地味なのかなと思っていたら終盤スケールの大きなことになってきます。時々ヴァチカンで調査を続けている教皇の姿も映されて、アモルト神父がとんでもない相手と戦っていることがわかってきます。
悪魔は人の弱いところにつけ込んで攻撃してきますが、アモルト神父がこんなことを言います。
“心の傷は悪魔にとって入り口になる”
自分や家族が悪魔に取り憑かれたらどうしようと心配している人は覚えておきましょう。
健全に、悪を為さず、欲に囚われずに生きるのが良いでしょう。
頼れるエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父はすでに故人なので(2016年死去)、自分の身は自分で守りましょう。
そうそう、「悪魔は冗談が嫌いだ」とも言ってましたアモルト神父。短いジョークを覚えておいて、悪魔の気配がしたら連呼しましょうね。
色々考えるところもあるとても面白い映画でした。
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