こうすりゃよかった『ギャラクシー街道』

ネタバレします

宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘の結果もふせておくくらい「ネタバレ」には注意をはらっている私だが、今回はネタバレというか映画の内容に詳しく触れながら語らせていただきたい。
ので。
(大ヒット)公開中の映画『ギャラクシー街道』について何も知りたくない人はこの先は読まないでください。

なぜ私は信条を曲げてまで(大ヒット)公開中の映画の内容に触れてこのポストを書きたいと思ったのか?
なぜでしょう?鑑賞から一週間、私は暇があると、「なぜ『ギャラクシー街道』はあんなに笑えなかったのか?」と考えていました。
『ギャラクシー街道』は、「このくらい笑えるだろう」と思っていた期待値の12パーセントくらいしか笑えませんでした。
低い値ですが、その12パーセントはなかなか濃いというか価値あるというか、ひょっとしたら他のお笑い要素がダメすぎたから落差でよく感じてるだけかもというか、えらそうな言い方ですが、悪くなかったんです。
でも2時間近い映画で収穫があそこらだけってのはつらい。身の少ないカニ料理みたいだ。観終わった時の気分は、山のように積まれたカニの殻のように虚しいものでした。
あそこを笑いのクライマックスにするためにもっとやりようがあったのではないか?
そんなことをこの一週間考え続けていました。
「お前はなぜそんなことを考えるのだ?」とか訊かないでください。考えちゃったんだもん。
ではそろそろ内容に触れます。
ネタバレはいやだけどなんとなくここまで読んじゃった人はここでさようなら。
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そもそも『ギャラクシー街道』のどこがダメなのか?

はっきり書いちゃいますね。『ギャラクシー街道』はダメな映画でした。ではどこがダメなんでしょう?

ダメその1 主人公がどうでもいいと思ってる店がどうなろうと観客にはもっとどうでもいい

ファストフードの店長をしている香取慎吾は、冒頭から地球への転属願いを本社に出すくらいやる気をなくしてます。その店で何が起ころうと、ギャラクシー街道が閉鎖されて店じたいがなくなろうとそれがなんなのでしょう?

ダメその2 夫婦関係がわかりにくくて感情移入できない

やはり冒頭から香取慎吾は妻の浮気を疑っていますが、私が何か見落としていたのでなければ、綾瀬はるかが香取慎吾の妻だとわかるタイミングがちょっと遅くて「こいつなに言ってんだ?」という余計なことを考える時間ができてしまいます。
夫婦仲も良くも悪くもなくて(やや悪いくらいか?)、リアルっちゃーリアルなんだけど、感情移入できるところがなくてなにが起こっても、他人事にしか感じられない。

ダメその3 ヘンテコな宇宙人のヘンテコな生態を「どうだっ!」って見せられてもそんなにおもしろくない

『モジャ公』や『21エモン』を読んでいなくても藤子まんがのセンスが深く根づいている国で、ちょっとやそっとのヘンテコはむしろしらけるだけ。撮影現場では名のある俳優がヘンテコな扮装でヘンテコなことをしていて笑えたかもしれないが、それは観客には伝わらない。っていうかそういうのが透けて見えるとかえってしらける。だいたい産卵も脱皮も有名俳優のヘンテコなかっこも何十年も前にダウンタウンのコントで見てる。

ダメその4 登場人物みんなが乗っている筋が無い

ギャラクシー街道という題名とは裏腹に、いくつかのグループがばらばらに動いていて、産卵のシーンでいちおうまとまるんだけど産卵じたいが唐突なので、映画全体を通す筋が無い。ギャラクシー街道の閉鎖問題も国土交通省の人間しか知らないので、みんなの行動の動機にならない。各グループのエピソードがそれぞれ単発なうえに無駄に長い。中でも一番孤立しているポン引きとその客のエピソードは長すぎるだけでなくいちいち陳腐。

こんなところです。私が見落としたり台詞を聞き流したりしている場合もあるので確かではありませんが、大事なことはちゃんと印象づけてねって逃げ道作っときます。

じゃ、どうすりゃよかったの?

それではどうすればよかったのでしょう?
私がこの映画でいちばん(というかほぼ唯一)大笑いしたのは、キャプテンソックスが変身して卵を拾いに行くシーンでした。素直に声を出して笑ったのはほぼあそこだけ(ただそのおかげでその後香取慎吾が卵を拾いに行くシーンがかすんでしまいましたが)。
あの卵を拾いに行く場面を笑いのクライマックスになるような「引き」を入れて、個々のグループのエピソードがゆるやかに関連しつつ集まってくる、というような作りにすればよかったのではないでしょうか。
そのために、


1. 夫婦にとってこの店であることに意味を持たせる。軽いものでもいいから思い入れのある店ということにする。

2. 夫婦仲は良くて香取慎吾は妻を大事にしているが、そこへ浮気疑惑が浮上する。香取が疑惑を感じる瞬間を観客も共有する場面を作る。

3. ギャラクシー街道閉鎖に関してはかなり現実味のある話としてみんな知っていることにする。国土交通省の男は身分を隠すためにみょうな言動をするが、それが後半アニメやピエロが現実化してからの行動とシンクロする。

4. ヘンテコな宇宙人のヘンテコな生態は主に背景で起こり、観客が自分で気づくようにする。

5. キャプテンソックスについて、他の人たちがもう少し話題にする。

6. 配役をちょっとずらす。国土交通省の人はどう見てもいい人で、ギャラクシー街道閉鎖の危機感が高まらないので、産卵する人と役を交換する。産卵する人がいい人っぽいと、綾瀬はるかが困りつつも同情しておでこを合わせてしまったり、卵をみんなで救うシーンも自然になる。逆に国土交通省がこわもての方が心を変えるきっかけの可愛さが引き立つ。優香の役はもっとフェロモンな女優にする。

7. 大竹しのぶの電撃で停電したあとの復旧の手順をもっと多項目(機械の操作と報告書記入などで六項目とか)にして、2回くらいていねいに見せて、3回目は短い6カット、4回目と5回目は6分割画面の静止画とかで見せる。

8. 大竹しのぶが床の穴からゴミを排出するシーンをもっと見せておく。普段だらけた動きの大竹がゴミを排出する時だけみょうにてきぱき動くことにして、ゴミの行き先も印象付けておく。

9. ポン引きの客のところに売春婦が現れる直前に産卵騒ぎが起こる。気づくと出産を仕切っている女がいてそれが売春婦。医者である客と売春婦が協力して産卵を成功させる。ふたりはいい感じになる。医者はエロい気分が高まった状態で産卵に立ち会うため、ちょっとみょうな気分にもなっている。

10. キャプテンソックスの変身から撤収まではそのまま

11. 香取慎吾が外へ出てから店のガラスの汚れに気づくシーンは観客と共有できるようにする。映画では店内からの視点だけだったが、あれだとガラスを拭くために外へ出たように見えて、その前のカッコつけて出て行ったシーンの意味がない。卵のためにさっそうと飛び出したが、偶然目についたガラスの汚れを拭こうとして観客やみんなに突っ込まれるようにする。

といったところでしょうか。
基本的に、笑えないうえに無駄なシーンが多いというのが問題なので、テレビ放送用に90分くらいにうまく編集すればすごく面白くなる可能性もあります。テレビ放送が楽しみです。「地上波初ノーカット放送」だったら見ません。

鑑賞直後の感想はこちら→映画『ギャラクシー街道』を観たよ
映画『ギャラクシー街道』公式サイト

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