25年かけて青函トンネルを掘りましたって映画だけど、こういう大きな話なら森谷司郎監督。なにしろ日本を沈没させた男だ。トンネルの一本や二本、掘ろうが埋めようが思いのままだ。日本を沈没させた9年後、1982年の映画。撮影はこれまた日本を沈没させた一味のひとり木村大作でした。うふ。
青函トンネルを掘るのがストーリーの軸なんだけど、トンネルの工法なんか知らないから感動のしどころがいまいちつかみにくい。劇中では事前に、まずここをこう掘ってそれがこうなったら次はこう掘って、みたいな計画の説明はあるんだけど、工事開始以降の場面でそれがどこまで進んだんだかよくわかんない。ただ始めの方で生まれた赤ちゃんが小学生くらいになってたり、18歳の乙女になって男に口説かれてたりして、時間が経過してるということはよくわかる。
工事中も水がドバドバ出たり、人が死んだりして大変なのはよくわかる。
でも、それぞれが工程のどのあたりで、どの程度の障害になるのかがよくわからない。
あと高倉健が家庭を犠牲にして仕事をしているのもよくわかる。健さんが、妻より吉永小百合のほうががいいと思ったかはよくわからない。でも俺は吉永小百合の方がいいと思ったね。
というわけでややとまどいながら鑑賞していましたが、最後の貫通場面で健さんがみんなに「ありがとう」って言うと、もうそこで一気に感動しちゃうのね、不思議なことに。いろいろあったけど報われた、みたいな。健さんのひと言で報われた、あきらめないでこの人に着いてきてよかった、俺もすっかりトンネル男だぜ。
最後に健と小百合のしっとりした場面があるんだけど、私もこういう場面をじりじりしないで観られるくらいは大人になったかな。
あと三浦友和が、トンネル工事を通じて一人前になってゆく役を演じてるんだけど(18歳の乙女を口説いてたのもこいつ)、最初は生意気な若造だったのが、見学者を案内しながら工事の説明とかするようになるんだけど、その案内のシーンが『さよならジュピター』の本田主任を思い出させたよ。なんか口調とか。
特技監督がクレジットされてなかったけど、中野昭慶じゃないかと思うのね、きっと。日本沈没させた一味だし、ど頭に特撮の日本列島が出てくるし。きっとそうだよ(と思って調べてみたけどそういう情報はありませんでした。トンネルの壁が崩れて水が噴き出したり、けっこう特撮シーンがあったけどなぁ)。と思ったら「特殊撮影:木村大作」というクレジットもありましたね。「特殊撮影」だから「特撮」ってことでいいのか。いいのか?いいか。
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