前二作は派手なシーンから映画が始まっていたが、今回はやや地味なエピソードで幕開け。笑っちゃうけど。
作品内世界で新作と旧作をつないできたスポック＝レナード・ニモイが前作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の後 亡くなっていることを思うとやや感傷的にもなります。
映画新三部作は昔からのファンでなくても楽しめるように、アクション中心の娯楽要素が多目に盛り込まれてますが、この『BEYOND』は、少しだけ古くからのファンの好みに寄せてきたような印象でした。
全編通じて派手なアクションはありますが（特に終盤。画面に要素が多すぎて何が何だかわかんない。なんだかすごいということだけがわかる）、最後は映画を通してみんなが行動の動機としてきたもの、大事にしてきたもので勝利して、すっきりいい感じになって終わります。個人的な人間ドラマを後退させて、もっと大きな規範みたいなものを前に出した印象を受けました。
好みはあるでしょうが、スタートレックのドラマって、規範と個人の感情の綱引きみたいなのも結構あるので、大きな規範が無いとスタートレックっぽくないように思います。
事件が終結した後スポックが目にする一枚の写真。そして最後に映るエンタープライズの円盤部の文字（ちょっと泣きそうになった）。
ここは古くからのファンの心にこそ届くシーンだ。スポックが亡くなって寂しいけれど、世界は続いてゆくのだ。大事にすべきものは信念を持って大事にすべきなのだ。
というわけで、古くからのファンが最も楽しめますが、そうでない人でも大丈夫。楽しめます。
でも、古いファンもそうでもない人も、もしも余裕があるのなら、新三部作の一作目を観て、新旧スポックの関係とか、カークの音楽の好みとかおさらいしておくとさらに楽しめると思います。あと旧作を観たことがない方は『スタートレックIII ミスター・スポックを探せ! 』と『スタートレックIV 故郷への長い道 』あたりを観ておくといいかもです。この二本はレナード・ニモイ監督作品です。しっかりおさらいして、思う存分感傷的になりましょう。
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