珍しく原作を先に読んでからの映画鑑賞。
原作の恐い要素(嫌な要素)をほぼ盛り込んだ上に世界観を維持したままさらにもうひと広がり進めた、小説の映画化のお手本になるような映画でした。
恐い要素だけでなく、原作にあった「身近なひとを大切にしましょうね」というメッセージもちゃんと感じられました。
ホラーと社会派的メッセージが違和感なく同居している器用な映画。
原作を読んでいてもいなくても楽しめると思います。
ということで、興味のある人は私の感想なんて読んでないで映画館へ行くことをおすすめします。
ネタバレみたいのは書きませんが、もう観た人と、まだあまり興味がわかない人だけ続きを読んでください。
松たか子が演じる比嘉琴子は、原作では「最強の霊媒師ではあるけれど容姿にはあまり恵まれていない」ような描写だったので、松たか子ってどうなんだろ?と思いましたが、なんていうか、娯楽映画としてちょうどいい具合に「容姿」を落としてた感じで、お見事でした。左目のメイクも含めてよかったと思います。
ああいう、あえて不細工に見える角度で映されても品が悪くならないあたり、比嘉琴子役は松たか子しかいなかったのかもしれません。
社会派ホラーみたいに進行していたところに比嘉琴子が登場すると一気に娯楽度が高まり、ワクワクしました。
配役はみんな良くて、穴がない感じでしたが、中でも私が好きになったのは柴田理恵が演じた霊媒師、逢坂セツ子。
原作では比嘉琴子登場までの露払いみたいなポジションでしたが、映画ではもう少し活躍します。
修羅場になってるお祓い現場を歩く姿とかすごくカッコよかった。大友克洋の漫画に登場しそう。
スピンオフで「片腕霊媒師・逢坂セツ子」とか作って欲しい。見たいぞワンハンド悪霊祓い。
というわけで、原作をいい具合にひと越えした映画『来る』。
「面白かった」と言いたいところですが、実はほんのちょっぴりあれ?と思うところがあったので(ストーリーの矛盾とかそういうのではないです)、評価は「面白かっ」ですね。「た」ひとつ減らして。
原作『ぼぎわんが、来る』感想はこちら→いろんな意味で怖いホラー小説『ぼぎわんが、来る』を読んだら
原作は「比嘉姉妹シリーズ」となってますね。映画の原作『ぼぎわんが、来る』とシリーズの『ずうのめ人形』のKindle版がお安くなってるみたいです。映画化との連動でしょうか。未読の『ずうのめ人形』を買いました。