やって来ました大掃除シーズン。
なんでだよ。
なんでわざわざこの寒い季節に大掃除だよ。
冬は寒いだろ。雑巾とか。
夏にしようよ大掃除。お盆休みとかに。
なんつって夏は夏で「暑くて危ない。大掃除なんかしたら死ぬ」とか言ってるだろうけどさ。
というわけで寒いけどしょうがないから大掃除。
私は風呂場担当。
少しでも気分を盛り上げようと
「アレクサ、レゲエをかけて」
と頼み、Bluetoothスピーカーを脱衣所のカゴの上に置いて作業スタート。
これで気分はジャマイカン。
ジャマイカの人は「寒い」なんて言わないのだ。暑いから。
まずは普通に浴槽掃除から。
あの丸いやつ(名前知らない)ふたつを外して穴の奥もゴシゴシこする。丸いやつも分解して掃除。
床と壁のタイルもバスマジックリンでゴシゴシ。
マットも蓋もマジックリング。
蓋はなんていうか蛇腹って言うのかのかそうは言わないのか折りたたまるためにガタンガタンしてる凹凹状のところも丁寧にゴシゴシ。何本もの凹凹をこすっていると腰が痛くなってくる。この痛みをゴシゴシ腰と名付けよう。
排水口やらタオル掛けやらシャンプーとか置く網棚みたいのやらの洗浄が終わったら仕上げのカビキラー。
♪俺はカビキラー ジャマイカのカビキラー カビは嫌いさカビキラー
とレゲエのリズムで歌いながら(嘘)カビキラーを床や壁の黒ずんだあたりに噴霧していく。
塩素の匂いがプールでバイトしていたあの頃を思い出させる。
塩素の匂いでプールを思い出すならそのバイトで知り合った妻の顔を見たら毎日プールのバイトのことを思い出しそうだがそんなことにはならない。思い出とはそういうものではない。
浴室タイルに吹きつけたカビキラーがカビを殺すのを待つ間、扇風機の洗浄。
外枠を外し、プロペラを留めている留め具を外す。これは逆ねじなので、
え?
逆ねじなので普通の「ゆるめる」の逆に回して、
え?
なに?
なんで今扇風機があるのかって?寒い寒い言ってるのに?
それはここがジャマイカだからだよ!
というのは嘘だよ!
驚いたことに扇風機というのは誰かが片付けないとずっとそこにいるんだね。
夏が終わり秋になり、冬が来て春になってもそこにいるんだ。
そしてゴールデンウィークの少し前くらいの風呂上がりにまた仕事を始めるんだ。
誰も片付けなければ、ね。
しかし。
部屋を勝手に掃除して回るマシンの開発・商品化に成功した我々人類に、秋になったら勝手に片付いてくれる扇風機を作れないわけがない。
夏が終わり、秋になると、稼働率や気温から内蔵AIがシーズンオフを察知。あらかじめ定められた場所に片付いてゆく。なんかちょっとうつむき加減で。
そして春が来て。
ゴールデンウィーク前の風呂上り時にまた現れるのだ。今度はちょっと上を向いた感じで。
そんな扇風機を作ってくれないものか。アイリスオーヤマとかで。
いや待てよ。
扇風機の網状カバーを古歯ブラシでこすりながら私は気づいた。
扇風機の構造を考えると人の手を経ずして清掃は不可能だ。網カバー、プロペラを外して洗浄、再び組み立てるなど、独立したシステムには複雑すぎるミッションだ。アイリスオーヤマでも開発は難しいに違いない。
これでは扇風機は毎年のホコリをかぶったまま出たり入ったりすることになる。どんどん汚くなっていく。咳こんだりしちゃいそうだ扇風機。
世間ではAIが発達して人間の仕事が奪われる、などと言われているがそんなことはなかった。
10年経っても40年経っても100年経っても扇風機の清掃は人類の仕事として残るのだ。
などど人類の未来にまで思いを馳せている私がよほど熱心に作業しているように見えたのだろう。妻がやって来て言った。
「だいたいでいいよ」
出た!
我が家に昔から伝わる魔法の呪文「だいたいでいいよ」。
この呪文を唱えると、だいたいのことがだいたいでよくなる。
扇風機の清掃をだいたい終わらせると、
「二階のどっかに置いといて」
と妻が言うので、二階のどっかに扇風機を片付け、風呂場のカビキラーをだいたい洗い流して令和最初の大掃除は終了。
いつもは使っていないコタツを出して冷え切った足を暖めましたとさ。
今回登場したあれやこれや
*レゲエを聴いたのはAmazonプライムニュージック。
*選曲はアレクサ(echo dot)さん
*BluetoothスピーカーはAnkerのこれ(の旧タイプ)
*カビを殺したのはジョンソンのカビキラー(イメージキャラクターは伊達公子)
*バスマジックリンは花王さん
*そしてこれ(勝手に片付いたりはしません。まだ)