歩ひて渡れレインボーブリッジは

というわけで。
愉快な仲間の勝手にGo To遠足。
10月は「新橋烏森口集合ゆりかもめで芝浦ふ頭、レインボーブリッジを歩いて渡ってお台場まで」。
今回の参加者は三名。
今年おじいちゃんになった二人と、婦人部からはひとり、旦那が突然ごつい天体望遠鏡をベランダに設置したのに憤慨している奥様が参加。

ゆりかもめ芝浦ふ頭駅で降りて、「レインボーブリッジ遊歩道こっち」みたいな表示に従って歩いていくと遊歩道に上がるエレベーターに着いた。
エレベーター前には「ソーシャルディスタンス」を示す足跡ステッカーが貼られていたが、我々の他には人がいないのでそんなの無視である。
駅からここまでも人はまばらで、自然にディスタンスが保たれるのはいいとして、観光業会へのダメージは想像に難くない。

それはそうとレインボーブリッジ遊歩道。
景色はいいけど横を車がガンガン走っててうるせーうるせー。
景色がわに金網というか金格子見たいのがあるんだけど、車が通るたび(つまりはほとんどずっと)ガガガガガガガガ小刻みに揺れるので、写真が撮りにきー撮りにきー。

格子の間からレンズを突き出して撮った写真がこれら。

所々に格子が無い撮影ポイントがあったけど、混んでたらゆっくり写真なんか撮っていられなそう。でも空いていたので撮り放題。

これがお台場、砲台の跡ですね。

そしてレインボーブリッジを渡り切ってしばらく歩くと自由の女神が。

なんとここは地球だったのだ!
ここでやりたい「猿の惑星ごっこ」。
ここは地球だったんだぁ!

松本零士デザインのお船。かっこいい。

レインボーブリッジ(ほぼ)全景。
「あれを渡り切った俺たちすげー」と自画自賛。

ほどよく暖かい絶好の遠足日より。
お昼も近づいてきたので、アクアシティのアメリカンビュッフェのテラス席で昼飲み。
あちこちのぞいて店を決めたけど、どの店もガラガラだった。
テラス席から隣のしゃぶしゃぶ屋の店内が見えたけど全く客がいない。
まぁ、しゃぶしゃぶって気候でも時間でも無いだろうけどさ。
テラス席でビールやらワインやら飲むのは本当に気持ちよかった。
はじめは我々の他に一組しかいなかった客も、家族づれ中心に増えてきてにぎやかに。
ビュッフェでお馴染み、持ちきれない料理や飲み物をそーっと運ぶ子供の姿も堪能できた。

2時間ほど飲み食いして、ブラブラしていると「マダム・タッソー東京」に通りかかる。
マダムもタッソーも何のことやらな私だったが、有名人の「蝋人形」があるらしい。
いや、観覧している間もずっと「蝋人形蝋人形」言っていた我々であったが、たぶんあれは「蝋」じゃない。
でも入館口に向かう私たちは「蝋人形蝋人形蝋人形」。「聖飢魔Ⅱ」に蝋人形の歌があっただの、そのフレーズが思い出せないだの、すっかり蝋人形を見に行く態勢だった。

「マダム・タッソー東京」は、当日券が2,300円とちょっと高めだけど、入るとそんなことはすっかり忘れてリアルな蝋(じゃない)人形にすっかり夢中になってしまった。
いやホント、似ててリアルで気持ち悪い。
人形の視線の先に立つと、本当に見つめられているような気分になる。
人形と並んで写真撮影もできて楽しいったらない。
ここもかなり空いていて、写真撮り放題だった。
経営的には大変だろうけど、ある程度好き勝手に写真を撮ったり近くで見たりできなかったら楽しさ半減だろうなぁ。

蝋(じゃない)人形を堪能した後はさらにブラブラ。何だか懐かし横丁みたいなゾーンへ突入。
ここはたくさんの家族づれで賑わっている。
駄菓子屋とか並ぶ中にこんな人たちも。

キカイダー、ウルトラマン、そして、

なんだこりゃ?怖いぞ。
と思ったらお化け屋敷。怖いわけだ。お化け屋敷だもん。

蝋(じゃないけど)人形でテンション上がっていたのでしょう。
お化け屋敷にもチャレンジすることに。
みな「お化け屋敷なんて何年ぶりだろう?」と口々に言っていたけど、誰も何年ぶりか思い出せないのね、そんなこと。

ここのお化け屋敷は廃校設定(お化け屋敷の正式名称は「台場怪奇学校」)。いろんな理由で成仏できない霊のためにお札を奉納するというミッション。
先頭の者には懐中電灯が渡され、3人全員には、
「これを決して離してはいけません」
と、黒と黄色の、ホームセンターで売ってそうなロープを握らされた。これが命綱なのだ。これを離してしまうと3人はバラバラ、後の責任は一切負えないのだ。
そして最後尾の私にはヒト型に切り抜いたおふだが手渡された。何だこれ?

その態勢でしばし待機。
「俺、こういうの決して得意では無いからね」
中で変な声とかあげたら恥ずかしいので先に言っておいた。
待機中に係のお姉さんから説明。
この学校には悲しい死に方をした何人かの霊がさまよっていて、そのうちのひとりを選んで成仏させて欲しいのだとか。
成仏させるには、この中にある焚火の前にお札を(さっき俺が渡されたやつだ!)置いて、声を揃えて「成仏してください」と大きな声で叫んでください。とのこと。

見ると横の壁に、何人かの名前と、その子に何があったか、お品書きのように書かれていた。
成仏させる霊は誰を選んでもいいが、今日のおすすめは「かくれんぼしていてそのまま行方不明になった “しんちゃん” だとのこと(後に腐乱死体で発見)。
「じゃ、しんちゃんで」
3人は口を揃えてしんちゃんを選んだ。
一瞬で意見が一致したのは、オススメということもあったが、何より共通の友人にしんちゃんがいるからだ。待ってろしんちゃん!俺たちがきっちり成仏させてやるぜ!
まだ生きてるけどさ、俺たちのしんちゃん。

しかし「オススメ」っていうのは「初心者にも成仏させやすいマイルドな霊 “しんちゃん” 」なのか、「たっぷり怖がらせてやるよ最恐霊 “しんちゃん” がな」なのか、どっちなんだろ?
などと考えていたら扉が嫌な音を立てて開きいよいよ私たちの番に。
最初の部屋ではテレビ画面でこの学校でどんなに嫌なことが立て続けに起こったかが語られていたが、あまり聴かないようにした。怖いから。

次の扉が開き、嫌な音や嫌な声の中歩いていくと、ベッドや床に死体(たぶん)が転がっている。
成仏とかよりまずこういうの片付けろよもう!

その先も「霊を成仏」以前の出来事が続き、私の手は汗でベトベト。おふだもロープもベットベトになっていった。しかし死んでもこの二つは手離してはいけないのだ。
焚火にたどり着いた時に「お札が無い!」なんてことになったら何を言われるかわからない。40年近く続いた友情も今日で終わってしまうかもしれない。
「ここでお札を無くしたら次の遠足(12月)も来年6月の旅行も、もう誘ってもらえなくなる!」
私は必死でロープとお札を握りしめ、歩を進めた。

そしてついに。
「これ」
「これ?
「焚火?」
ちっちぇーなおい。
何だろ、ガスコンロ大の火が、電気じかけのようにチロチロ燃えている。
でもその前にはたくさんのお札が。
ここだ!
私は(ベトベトの)お札をそこに置いた。
「じゃ、3人で成仏してくださいだね」

「せぇ、」「いち、にの、」「じょうぶっ、」
息が合わない。40年の友情も悪霊の前ではなんの役にも立たないのだ。
「せぇの、で、せぇの、で」
「せぇの!」
「成仏してください!!」

ところが。
なんか大きな音とともに怖い声が響いてきた。
よく聴き取れないが、なんかそんなことじゃダメだ、みたいなことを言ってるらしい。
ざけんなコノヤロー!焚火の前にお札置いてちゃんと言ったじゃんかよぉっ!!
しかし。ひょっとしたらベトベトしたお札はダメだって言ってるのかもしれない。だったら俺のせいだ。でも黙ってよ。旅行に誘ってもらえなくなるから。

などとパニックで思考が錯綜する中、怖い声とは別の声が。
「ここは僕にまかせて早く逃げて!」
誰だ僕。誰でもいいや、まかせた!
逃げ出す3人。
「しんちゃんだよ!しんちゃんが助けてくれたんだよ!」
真ん中の婦人部の奥さんが叫ぶ。
そうか!しんちゃんありがとう!つーか俺たち何しにきたんだっけ⁈

こうして。
3人は命からがら呪いの廃校から脱出したのでした。

蝋(じゃない)人形館とお化け屋敷ですっかり童心に戻った3人であったが、大人の心も取り戻し、新橋で飲み直すことにした。
のだがその道々、お化け屋敷では先頭で懐中電灯を持っていたおじいちゃん1号がポツリと言った。
「俺、成仏してくださいって言わなかったんだよね」
オイオイ。
「もう呪われた。しんちゃんに呪われた」
責めるふたり。
呪われた3人を乗せてゆりかもめは走る。

呪われたまま到着した新橋。ここもなんだか人出が少なく、我々が入った(路上のテーブルで飲んだけど)店も、ほとんど客がおらず、寂しい雰囲気だった。
いつものように楽しい会話の合間に「こんな状況がいつまで続くのかねぇ」みたいな話も織り込んでみたりした。

こうして。ちょっぴり苦いものも含みつつ、でもやっぱり楽しかった10月の遠足もお開きとなり、次は12月。その間会社の仕事が忙しさのピークを迎えるけど元気でいろいろ乗り切ってまた楽しい遠足に行きたいな。

blinkani
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