夏休みヒーロー映画劇場2022『月光仮面 THE MOON MASK RIDER』

夏休みといえばヒーロー映画ですね。
というわけで東京MXで突然放送された(ように思えた)『月光仮面』(1981)を鑑賞しました。

私が生まれる前からヒーローだった月光仮面。子供の頃アニメ版を観たことはありましたが、この映画は初見でした。

月光仮面 THE MOON MASK RIDER

何やら怪しい宗教団体の集会シーンから映画は始まります。
大きなホールみたいなところで蝋燭を灯して、教祖みたいなやつがなんか言ってます。
と思ったら集会にいた信者みたいな連中が赤いターバンみたいな覆面をかぶって銀行強盗をするシーンに。先頭に立つのは志穂美悦子。
この時点で、「今は悪の組織にいるけどどこかで改心して月光仮面と一緒に悪と戦うんだろうな悦子。そういうやつ悦子」と思いましたが、半分くらい当たりでした。そういうやつ。

やがて、カルト宗教っぽい集団の名前は「ニューラブカントリー」、その活動資金のために強盗を繰り返しているのが「レッドマスク団」ということがわかってきます。
彼らは自分達の活動が世界のためだと信じてます。悦子も。デストロンの理想を信じるあいつらを思い出しました。

月光仮面は強盗の事件現場で犯罪を防ぐのではなく、奪われたお金を取り戻し、持ち主に返す代わりに10%の手数料を取るシステムになっています(被害者がそういう条件で依頼するわけではなく、月光仮面が勝手に決めたルールです)。
映画公開当時、この手数料システムを「現代的ヒーロー像」みたいに書いてあるのをどこかで読みました。現代(1980年代)においては正義も無償奉仕では成立しないという意味での「現代的」だと思いますが、劇中では手に入れたお金はすべて寄付しているようでした。バイクのガス代とかは自腹なんでしょう。

盗まれた現金を強盗から盗み返して10%を差し引いてから返却、そして手元のお金を全額寄付。月光仮面の活動はこの繰り返しみたいです。
なんていうか、強くていい人なんだろうけどやってることヒーロー度が低いですよね。
この活動方針だと犯罪を未然に防ぐとタダ働きになっちゃう。だから事件の後に現れる。ハヤテのように。

月光仮面の正体は劇中ではっきりと明かされることはなく、「多分あいつだろうな」くらいの描き方でした。
ただその「あいつ」も、経歴が明かされる程度で、何を考えているかよくわからないままでした。
「月光仮面は誰でしょう?」的な引きもちょっぴりありましたが、ホントにうっすらそっけないものでした。

クライマックスのヘリコプターアクションを見ていて、「月光仮面がマスクを脱いだら千葉真一だったってオチなら伝説の映画になるのにな」とか妄想してしまいました。

アレなところは多々ある映画ですが、今見るといろんな役者さんが出ていてそこは楽しめました。刑事役の藤岡琢也とか。関係ないけどドラマや映画のおっさん刑事ってたいてい娘がいますよね。
最後の最後、巡査役の小柳トムが観られたのもちょっと得した気分でした。

観終わって思ったのは、1981年当時、誰に向けて作られた映画だったんだろう?ということでした。私より上の、月光仮面直撃世代の人は期待したり楽しんだりしたのでしょうか?
私なんかが『シン・ウルトラマン』をワクワク観るような、そんな気分になれたのでしょうか?

まぁでも。
80年代あたりを懐かしくおおらかに思い出せる人は観ると楽しめるんじゃないでしょうか。意図的にハードル下げられるタイプの人とか。

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