映画『灼熱の魂』“Incendies”を観たら

『メッセージ』(2016)『ブレードランナー2049』(2017)のドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve)監督、2010年のカナダ映画です(日本公開は2011年)。

Amazonプライムビデオで偶然見つけて鑑賞。
紹介文に何か惹かれて、どういう映画かよくわからないまま観ましたが、いやもう衝撃。

原題の“Incendies”というのはフランス語で「火事」という意味だそうです(最初わからなくて英語翻訳したら「焼夷弾」だった)。

Amazonプライムビデオ →灼熱の魂 (字幕版)

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机も椅子も無い教室のような部屋に集められた子供たちがバリカンで丸刈りにされるシーンから始まります。
子供の目つきや雰囲気で、あまりいい状況でないということはわかりますが、それ以外の情報が無く、謎のシーンです。後でどういう場面かわかりますが、私は全部観終わってからもう一度観るまでわからないままでした。

場面はすぐに、若い双子の姉弟シモンとジャンヌが死んだ母の遺言を聴くシーンに移ります。
母の遺言がこれまた謎で、財産の分与の他は、私をちゃんと埋葬するなとか、難解な詩のようなものが書かれていました。
そしてふたりにそれぞれ封筒が渡されます。
ジャンヌには父親宛て、シモンには兄宛て。それをそれぞれ届けなさいという遺言でした。
ところがふたりには兄はおらず、はっきりとは言及されませんが父親も封筒を渡せる状況にはないようで、ふたりは戸惑うばかりです。

弟シモンは「母は変わり者だったから」とこの遺言に取り合いませんが、姉ジャンヌは遺言を守ろうと行動します。
とはいえ手がかりは全く無く、母の今までの人生を辿ることで “父親” の手がかりを探ろうと、ジャンヌは一人で母の出身地である中東の国に渡ります。

という始まり。
ジャンヌも観客も手がかり皆無の中、手探りで進んでゆきます。途中途中に母親の過去のシーンが挟まり、母親の人生が過酷な出来事の連続だったと明かされていき、やがて二通の封筒の真実が明かされます。
観客は双子よりも少しだけ早く真実に気づくようになっていて、双子の真実への旅に同行しながらも、双子が真実に気づく瞬間の衝撃は観客目線で観られるようになっています。絶妙のタイミングだと思います。

また、冒頭の子供が丸刈りにされているシーンも深い意味があったと全編見た後では気づくようになっています。あそこが、運命がある方向に動き出したポイントだったように思えました。

暗く重く、悲惨な出来事が連続する映画ではありますが、観て後悔するような結末ではありませんので、未見の方には強くお薦めします。
私は『メッセージ』と『ブレードランナー2049』を再見したくなりました。
『DUNE』も観たら印象が変わるかなぁ。

本編を観るなら何も知らずに双子と旅をしたほうがいいと思いますが、こちらで予告編を観られますが、 →映画『灼熱の魂 デジタル・リマスター版』公式サイト

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