映画『単騎、千里を走る。』を観たよ

映画・ドラマ

「昔やんちゃしてました」的な、他人にはどうでもいいことをさもたいそうなカミングアウトのように語る者が後を絶たないのは高倉健がヤクザ映画でスターになって、後に成熟した大人の見本のようになっていくことによって醸成された価値観と無縁ではないだろう。一本の映画で「過去やんちゃ→今いい大人」のパターンも多いし。

「やんちゃ」でなくても過去の何かが現在の行動を左右することが多い高倉健映画のために、日本人はよく言えば過去を大切に、悪く言えば自ら過去に縛られることを良しとしてきたのだ。
って逆か?日本人がそうだから高倉健の映画がそうなってきたのか?
まぁいいや。

『単騎、千里を走る。』の「過去のやんちゃ」にあたるのは、あることをきっかけにひとり息子と十年以上交渉を絶っていたこと。心の溝は深まるばかりだったが、そんな息子が重い病気にかかり、過去の「やんちゃ」を清算するために健さんは中国に渉る。
ただし、過去の「やんちゃ」の原因が中国にあるわけではなく、今げんざいの息子との心の溝を埋めるものがそこにあるのでは、という旅。

中国に渉ると、目的を果たすための右往左往が始まる。このあたりはドキュメンタリー映画のようなドキドキハラハラ感。そして、中国で行動しているうちに、中国へ渉った直接の目的はだんだん小さくなってきて、体を置いたその場所で起こることに誠意を持って対応していく。この過程がどうにも良くていちいち心にしみる。

観る前は、高倉健が馬に乗って中国の大地を走り回る映画なのかと漠然と思っていたが違った。違ったが、三国志の関羽を題材にした中国の仮面劇の題名である『単騎、千里を走る。』の「単騎」は高倉健なのだな、とわかってくる。そして「単騎」が「千里」走るために必要だったものを思うと泣けてくる。そういう映画。
観てよかった。監督チャン・イーモウ(日本のシーンの監督は降旗康男)、2005年の中国映画。
未見の方はぜひ。

 

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