私が自力で作って販売している電子書籍を押しう、、、ご紹介するコーナー第6弾はこれ。
『故郷を百万歩』
たったひとりで戦場に取り残された11歳の少年が、行くあてもなく歩き続け、最後にあるところにたどり着くというお話です。
お母さんもお父さんもいて、幸せだったあのころを思い出しながら少年は歩き続けます。
いつか書いたかもしれませんが、このストーリーはアニメ『機動戦士ガンダム』の第13話「再会,母よ…」から思いついたものなんです。
母に会えることを期待して地球にある生家を訪ねたアムロは、家の中に母ではなく、昼間から酒を飲んで騒いでいる連邦軍の軍人たちを見つけます。
テレビで観た時、これやだよなぁ、と思いました。自分ちで知らない大人が酒飲んで浮かれ騒いでる。酔っ払って変な踊りとか踊ってる。あーやだやだ。
というようなアニメを観て思いついたのが、子供のような年齢の兵士が戦場をさまよって、最後に自分の家にたどり着くという話。
それは戦闘シーンから始まって、一人の兵士が生き残り、取り残される。大きなヘルメットとゴーグルをはずすとあどけない顔。無線で指示を受けながら徒歩で移動を始めますが、途中で無線機も使えなくなり、自分の位置もわからなくなります。
熱爆弾の攻撃であたり一面ドロドロに溶け、何が何やらわからない戦場を歩いていると、やがて少しずつ建物や車などの形が判別できるようになり、さらに歩いて行くと、無人ではあるけれどほぼ無傷に見える街に出ます。見覚えのある風景。その先は彼の故郷の町。自分の家への道を見つけた彼は自然に駆け足になります。が。家に着いた彼が見たものは?
というのが最初の構想でしたが、実際には兵士ではなくもう少し年齢が下の少年にして書き始めました(漠然とした構想から10年以上経ってからだったと思います)。
そして、ドロドロに溶けた街をさまようというのは書きましたが、書いているうちにどんどん構想からそれて、彼がたどり着いたのは自分の家ではない別の家になりました。
全4話ですが、「戦場をさまよう」「最後に自分の家(に準ずるところ)にたどり着く」だけで書き始めたので、2話を書き終わったところでこの後どう展開していいかわからなくなり、迷いに迷ったのを憶えています。
でもおかげで第3話は今自分で読んでもちょっと泣ける話になりました。
アニメのエピソードがきっかけで思いついた話ですが、実際に書いていたのは自衛隊の海外派遣などが始まった時期で、小泉首相がでたらめなことを言いまくっていたころでもあり、個人的に戦争について考えることが増えた時期でもありました。そういう思いも込めてこの少年の物語を書いていました。