ついに発表!「第1回国際SFアート大賞」オトーは月刊スターログと #29:1982年9月号

12年前のあれはセクハラだったかもしれないので謝罪します。
はい。楽しいことしか思い出したくない「オトーは月刊スターログと」。過去だけ見つめ続けてついに第29回。
今回は「第1回国際SFアート大賞」発表のこの号。

月刊スターログ日本版NO.47:1982年9月号 特別定価720円

表紙

目次

そのころ国際SFアート大賞は第1回発表だった

巻頭と巻中にピンナップがありますが、どちらも国際SFアート大賞作品。
巻頭の表カラーは「シルバー・プライズ」受賞作品名古屋市在住(当時)のイラストレーター白山忠幸さん29歳(当時)の作品「MIRAGE」。夕暮れ空の前景に三角形に切り取られた昼間の空が突き刺さっていて地球みたいな天体が二つ浮かんでるイラストです。エヴァンゲリオンの使徒にこんなのがいたようないなかったような。
裏のモノクロは同じく「シルバー・プライズ」受賞作品。スイス在住(当時)のKIM Staiffさん27歳(当時)の作品「TRINTY THE4TH」。なんかこう、宇宙みたいな星みたいなのや子宮み胎児みたいのやあってうねうねグニュグニュテカテカどろ〜んみたいなイラスト。さすがギーガーの国の人。
「第1回国際SFアート大賞」は、ざっくりいうと、審査員特別賞4、ゴールド3、シルバー10、その他入選、という結果でした。
「イラストレーション一次選考通過」の中に千葉県船橋市在住(当時)の雨宮慶太さん22歳の「グラウ龍のやごに乗る老兵士」もあったことを付け加えておきます。

審査員たちのお言葉をいくつか紹介します。

“ SFアートの土壌が、これまで拡がったことに驚きを覚える ” 手塚治虫
“ コピーにとどまらず一歩ふみ込んで描けば新しい世界が広がるはず ” 野田昌宏
“ 技術は水準だがイマジネーションが追いつかない ” ペーター佐藤
“ 活躍の場は少ないが、日本のSF作家は熱意だけで出発したのだ ” 星新一
“ 目標失うのを恐れ辛い採点をつけた ” ニール・アダムズ
“ アーチストとしてあえて批評は控えた ” フランク・フラゼッタ
“ 想像上の雑誌のディレクターの立場で審査した ” メビウス

そのころE.T.がじわじわ接近中だった

日本公開に先立つこと約5ヶ月。『E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL』の特別試写の様子が報じられてます。
アメリカでは6月に公開されていた『E.T.』ですが、日本では試写が7月、一般公開は12月だったことが記事からわかります。
20枚以上の写真が並んでますが、どんな映画かさっぱりわからない写真ばかりです。

そのころフェデリコ・フェリーニはメビウスにお手紙を書いていた

メビウス来日記念として「メビウスの華麗な幻惑世界」という特集がありました。
いろいろな作品からのメビウスのイラストが並び、最後に映画監督のフェデリコ・フェリーニのメビウス宛の手紙が載っていました。いろいろな言葉を駆使してメビウスを絶賛していますが、自分の映画『カサノヴァ』にメビウスを出演させたかったとも書いています。実現していたらそれだけでも観たくなっちゃうなぁ。

 

そのころカーンはカンで逆襲は怒りだった

クリスマス公開映画として『スタートレック2』の情報もありました。正式の邦題が決まる前で、「カンの怒り」となってますね。
そういえばプロレスラーのキラー・カーンも「正しくはキラー・カンなんだ」と言ってましたっけ。ジンギス・カンといっしょだって。
記事では第1作より低予算で、前評判も低かったのに、公開されたら大ヒットでしたと報じています。当時の興行収入の記録も塗り替えたそうです。公開3日目とか10日目とかそういうやつ。スタートレック劇場版偶数の方が面白い伝説の始まりです。
著名なシリーズなので、「前作より断然面白い」みたいな感想が広がって大きな波になったのかも、と思いました。そうすると3作目は「前の方が面白かったなぁ」の輪が広がって…の繰り返しで偶数作がヒットすると。

実際、劇場1作目の重厚感と比べてアクションや戦闘シーン満載で娯楽映画として成功してますね、スポックの死という大ネタもありますし(第3作で帰ってきますが)。制服も1作目の地味なグレーから真っ赤になって画面映えします。やはり娯楽作品には赤い色が必要なんですね。色彩を一新するのはわかりやすいテコ入れです。ロボット刑事Kも後半で真っ赤っかになってました。

そのころ目黒区の白倉伸一郎くんは『宇宙刑事ギャバン』の素晴らしさを力説していた

読者コーナー「LETTERS」に東京都目黒区の白倉伸一郎くんからの『宇宙刑事ギャバン』を絶賛する投書が載っています。
彼の絶賛ポイントは「上原正三脚本」と「大葉健二の硬直した笑顔」だそうです。あと、『デンジマン』も上原脚本だけど、別の人がSF度を薄めてしまった、などと語っています。
こういうマニアックな人がのちに特撮ヒーロー番組のプロデューサーになっていても私は驚きませんね。

というわけで。誰にでも過去があった!という驚くべき事実が判明したところで「オトーは月刊スターログと#29」はおしまいです。次回第30回記念号までごきげんようさようなら!蒸着!

オトーは月刊スターログと[総目次]

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