その昔発行されていた伝説のSF雑誌「月刊スターログ日本版」。私の手元にある中から行き当たりばったりに選んだ一冊を語るコーナーついに第5回。行き当たりばったりに選んでたら前回(#4 )で語ったNO.45の前の号、NO.44に行き当たってしまいました。でもいいんです。行き当たりばったりだから。
というわけで「オトーは月刊スターログと」#5は、
月刊スターログ日本版NO.44:1982年6月号 定価680円
巻頭ピンナップは、表のカラーが生頼範義画『スターウォーズ日本語版』書き下ろしイラスト。このイラストのポスターがスターウォーズリバイバル公開の初日入場者にプレゼントされたそうです。
裏のモノクロは『ミクロの決死圏』(Fantastic Voyage)の一場面からラクエル・ウェルチ(Raquel Welch)。もう一人写ってるけどピンナップにはRaquel Welch の名前しかありません。
それにしてもさすがラクエル・ウェルチ。体はミクロでも見事な胸。
そのころフィリップ・K・ディック(Philip Kindred Dick)は亡くなっていた。
映画『ブレードランナー』(Blade Runner)公開直前に亡くなったという記憶がありましたが、それがこの年でした。
浅倉久志、伊藤典夫、川又千秋による追悼座談会、ディック最後のインタビュー「ディック “ブレードランナー” を語る」などが掲載されてます。今では多くが映画化されているディック作品ですが、『ブレードランナー』が最初に傑作として生まれ、長期的にマニアックな指示を受け、「オリジナル劇場版」「インターナショナル劇場版(完全版)」「ディレクターズカット最終版」「THE FINAL CUT」など、もうなにがなにやらなくらいいくつものバージョンでソフト化されたのでした。
ちなみに『ブレードランナー』は西暦2019年という設定でした。もうすぐですなぁ、車が空を飛ぶのも。
そのころ『惑星ソラリス』は短縮放送されていた
いつものようにその月にテレビ放送されるSF映画が紹介されていて、5月16日の10:00~11:55 AM にフジTVで『惑星ソラリス』が後放送されることが記されている。170分の映画が115分の枠で放送されるということも。
CMを抜くとおそらく90分くらいになるはずだから半分強の長さ。もともと難解と言われている映画をそこまでカットしたらどうなるのか?むしろ観たい。意外に分かりやすくなったんだろうか?どんなになってたんだろ。
タルコフスキーは1986年没なので、この放送時には生きていたわけですね。いや、だからどうって話でもないですけどね。
調べたら1982年5月16日は日曜日でした。事情を知らない良い子が、なんか宇宙っぽい映画をやるぞ!って見たのかな、日曜の朝から。『惑星ソラリス』大幅短縮版。
表紙にもあるようにこの号は「感動の1960年代特集」。
30年以上前の雑誌でさらに20年以上前の特集です。50年以上前のお話になります。私が1962年生まれなのでそのころの話です。
そのころ(60年代)はSF黄金期だった
まずは60年代の海外SF映画の状況。『ミクロの決死圏』(66)、『猿の惑星』(68)、『2001年宇宙の旅』(68)などで新時代に突入したが、その後『スターウォーズ』(77)まで、宇宙SFや怪物SFなどは映画史的には寂しい状況だったというようなことが書かれている。
『2001年宇宙の旅』と『スターウォーズ』というSF映画の二大別格に挟まれての評価は気の毒だが、そんなに寂しかったのかなぁ、と中子真治編著『超SF映画』で調べてみたら、『スターウォーズ』前のSF映画としては『スローターハウス5』(72)、『惑星ソラリス』(72)、『ソイレントグリーン』(73)、『ウェストワールド』(73)、『未来惑星ザルドス』(73)などがあった。
ディストピアっていうんですか、暗い映画が並びましたが、時代というものでしょうか。『ダークスター』も74年だったりしますが。
特集は「日本SF映画」、「日本怪獣映画」「おもちゃも大進歩」とノスタルジックに進み、巻中ピンナップでは月刊誌の付録漫画が紹介されている。桑田次郎『Xマン』、横山光輝『少年ロケット部隊』、吉田竜夫『宇宙エース』、作者名ないけどタイトルに惹かれる『すすめぴろん』など。
気になったので調べたら『すすめぴろん』は藤子・F・不二雄作品でした。今は『すすめピロン』とカタカナ表記になってます。なんかのお薬みたいだ。
そのころ読者は欲しがっていた
この号の読者コーナー「LETTERS」で読者が欲しがっていたのはこんなものたちでした
*ワンダー・ウーマンことリンダ・カーターに関するものを何でも
*SWくるくるMOVIE、ギーガーズ・エイリアン
*ポピーの超合金ブラック「勇者ライディーン」
*漫画「ロボット刑事」か「鉄面探偵ゲン」
*8mm映画 “Dawn of the Dead Ⅱ” に出演してくれる高校生
*8mm自主制作映画 “Bang You’re Alive”出演者(18歳以上の男女)
いつもながら自主制作映画の文字を見ると、完成したのかなぁ、と気になってしまう。特に“Bang You’re Alive” は40〜50分の長編SFらしいので、完成してたらかなりの大作だよなぁ。
こんなところで「オトーは月刊スターログと」#5 はここまでです。#6 までごきげんようさようなら。