何をやらせても日本一だが、歌だけはちょっぴり残念な早川健が親友飛鳥五郎の仇討ちのために日本中を旅して、各地の悪いやつらをズバットに変身(スーツ装着)してやっつけて回る痛快なお話。
なんですが、私が生まれ育った静岡県では放送しておらず、雑誌記事などだけで知っていた番組でした。
それらの記事はどれも好意的にズバットの面白さを語っていて、悔しい思いをしたものです。
それが50歳をとうに過ぎた今になって、amazonプライムビデオのおかげで全話視聴することができました。静岡の仇をアマゾンで、といっておきましょう。
ちなみに1977年の放送なので、当時私は15歳。中学三年生でした。
『快傑ズバット』最終回 第32話 さらば斗いの日々、そして
最終エピソードは2話構成。冒頭で第31話のあらすじが紹介されます。
亡き飛鳥五郎の恋人皆川理沙は飛鳥が作ったズバットスーツ(強化スーツ)の後継機のために、ズバットスーツの10倍強い超合成繊維シルベールを完成させた。
一方早川は国際秘密警察の神竜伸介とともに悪の組織ダッカー本部に乗り込み、卑劣な罠を切り抜け首領Lを倒した。だが、ダッカーの真の大ボスは首領Lではなく、総統Dであり、Dこそ飛鳥殺しの犯人であることがわかる。(前回あらすじここまで)
吊り橋に追い詰められた早川、神竜、そして東条刑事。
悪の天海山三兄弟のマシンガンが火を噴く。
全身に銃弾を浴び、踊るように吊り橋から落ち、るかと思ったら間一髪吊り橋のロープにしがみつき宙づりになる早川健。
その隙をついてダッカーの戦闘員を殴り倒す神竜と東条。
東条に助け上げられる早川健。
「早川!大丈夫か?」
「大丈夫だ」
起き上がる早川健。
「大丈夫なものか。体じゅう傷だらけだ」
なぜか天海山三兄弟の姿が見えない。
さらになぜか神竜の姿も見えない。
「神竜がいないぞ!」
神竜を探す東条と早川健。
「東条ーーーーっ!」
どこからか神竜の声。
神竜は海の岩場にしがみついていた。
神竜を助けるために岩場を降りる傷だらけの早川健。
もう少しのところで力尽き、人形のように崖から転落する早川健。頭がもろに岩に激突してそのまま海へ姿を消した。
東条と神竜はその地で拠点にしているホテル清風閣に戻り、そこで皆川理沙、飛鳥みどり(飛鳥の妹)、寺田おさむ少年と合流、傷の治療をする。脱脂綿で消毒とかしてる。
「すまん。早川さんは俺のために」
責任を感じあやまる神竜。
「誰のせいでもない。早川は死ぬような男じゃないよ」
泣き出すみどり。
皆川理沙がつぶやく。
「あたしのせいだわ。あたしがシルベールなんか完成させなきゃ」
そんなことはないと励ます東条と神竜。
「でも、シルベールの作り方をダッカーに知られたら…」
理沙は部屋の金庫(ホテルの部屋で貴重品とか入れとくあれ)から、ジルベールの試作品と作り方を記した化学合成式のメモを取り出す。
「ダッカーは今までの10倍の強さになってしまう。これがダッカーに取られるくらいなら、なんとかその前に処分しなくては」
「そんなことはさせませんよ」
神竜は、シルベールの試作品をみどりに持たせ、化学式のメモを半分に破り、片方を東条に渡す。
「こいつを俺とお前が命がけで守る。仮にどちらかがやられたとしても、半分だけではダッカーにはシルベールを作ることはできない」
しかしダッカーは理沙を襲って化学式を聞き出すかもしれないと東条が指摘すると、
「俺に考えがある」
朝になり、清風閣を後にする神竜、東条、そして理沙。それを見送るみどりとおさむ。
ぶらぶら歩いている3人を見つける天海山三兄弟。
理沙と思われたのはみどりの変装だったことがここでわかるが、天海山三兄弟は気づかない。
(こんな時、早川さんがいてくれたら)
心でつぶやくみどり。
その頃早川さんは必死に海から這い上がっていた。
早川健は生きていたのだ!
荒い波に打たれながら岸壁を這い上がる早川健。
やっとの事で岩の上に立ち上がったがそこで力尽き再び海に落ちる早川健。波間に消えた。
その頃本物の理沙はおさむ少年と森の中を歩いていた。身代わり作戦の発覚を恐れる理沙。絶対大丈夫と自信満々のおさむ。
それを見つめるダッカー戦闘員。バレていたのだ!
ちょうどその頃神竜たち3人もダッカー戦闘員に襲われていたが、二人の格闘術と拳銃で撃退、と思ったところで、神竜がマシンガンの銃弾を浴び、崖から人形のように転落する。
おさむと理沙もダッカー戦闘員に襲われ、銃口が理沙の頭に突きつけられる。絶体絶命!
と、その時!
いつものあのギターの音色!
「早川さんだ!」
「早川!そんなはずはねぇ!」
焦り、周りを見回すダッカー戦闘員たち、崖の上でギターをつま弾く早川健。
駆け寄る戦闘員。
崖の下から現れる早川健。
「早川!」
「ああ。天下の私立探偵、早川健だよ。
貴様たちに散々痛めつけられて、歩けないほどにされた男さ」
早川健はやっぱり生きていたのだ!人形のように岩に頭を激突させながら海に落ち、這い上がったと思ったらまた海に落ち、それでも生きて海から這い上がり、どこかでギターを調達して戻ってきたのだ早川健!これこそヒーロー!
5人の戦闘員をあっという間に蹴散らす早川健。ギターを使った格闘術も健在だ。バイ〜ンバイ〜ンと弦が鳴る。
助けられて笑顔になるおさむと理沙。
しかし。早川健の体はボロボロ。倒れ込んでしまう。
駆け寄りささえる理沙とおさむ。
「早川さん!こんな体で」
「こんな体でも…ダッカーなんかにゃあ負けはしない」
かっこいいぞ早川健!
「そいつはどうかな?」
「竜海丸!」「竜天丸!」「竜山丸!」
名乗りながらあっちの方から駆けて来る天海山三兄弟!
「我ら!さん!きょーだい!勝つことができるか早川」
「フッ。きさまら三兄弟。いくら粋がってみても、しょせん日本じゃあ二番目だ」
「じゃ、日本一は」
フューィ(口笛の音)
「チッチッチッ」
右手親指で自分を指す早川健。しかしよろける早川健。体はズタボロなのだ。
刀を抜き、早川に襲いかかる竜海丸。マシンガンを使わず、しかも一人づつとは、さすが日本で二番目、と思ったら竜天丸と竜山丸のマシンガンが早川を狙う。やっぱりお前らゲスだ。
そこへ現れる東条。拳銃3発で三兄弟を追い払う。
一行は再びホテル清風閣のあの部屋へ。連泊で予約していたようだ。
血の滲んだ包帯だらけで介抱される早川健。
あとは自分たちにまかせてお前はもうこれ以上動くなと気遣う東条に、
「すまんが東条、俺は人まかせが嫌いでね、これくらいどうって…」
と起き上がろうとするが、また布団に倒れ込んでしまう。
(ここでコマーシャル)
清風閣に到着する東条の同僚刑事。
しかし早川はちょっとした隙に書き置きを残して姿を消していた。
“ 許せ これはおれの斗いだ 健 ”
その頃健は海岸の岩場のてっぺんでギターを弾いていた。
(このギターで、奴らはきっと現れる。飛鳥、今日こそお前の仇は討つぜ)
現れたのは天海山三兄弟。いつもの和装ではなく、3人ともなぜか銀色のスーツをまとっている(でも胸にはそれぞれ「天」「海」「山」と大きく書いてある)。
三兄弟のマシンガンが健を狙う。
(さっそくおいでなすったな)
岩の上に立ち上がる早川健。
身体中にマシンガンの銃弾を浴び、頭から海に転落する早川健。
絶体絶命の早川健(何度目だ)。
そこへ駆けつけた東条と同僚刑事にも三兄弟の銃弾が襲いかかる。
拳銃で応戦するも、三兄弟は銃弾を受けても笑っている。
「ハッハッハッ!どうした東条、今俺たちが着ている服はシルベールで作ったものだ。どんな弾も通すことはできんぞ!ハッハッハッハッ」
そうだったのか!でもなぜ?
「シルベールスーツさえ着ていれば俺たちは不死身だ。それがわかったら二度とダッカーの敷地内には近づかんことだ」
その頃、おさむ、みどり、理沙の3人は海辺の高台を走っていた。
その前に現れた天海山三兄弟ともうひとり、金色スーツに金色マント、金色覆面の謎の金色男。それにしても忙しいな三兄弟。
驚いた理沙が金色覆面に問う。
「あなたは?」
「初めてお目にかかります。ダッカーの総元締、総統D。私が自己紹介をする相手は、今すぐ死んでいただく人たちだけに限ります」
恐ろしい!言葉遣いはていねいだが恐ろしい、総統Dの死の自己紹介。自己紹介されたら殺されちゃう!
「撃て!」
3人に銃を向ける戦闘員。絶体絶命!
その時!
海辺に響き渡るエンジン音!
海辺を走るズバッカー!
「ファイトスイッチオン!」
飛翔したズバッカーからさらにジャンプして高い岩場に着地するズバット。
「きさまぁ」
「ハッハッハッハッハッ!ズバッと参上、ズバッと解決。人呼んでさすらいのヒーロー!快傑ズバァット!!」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!」
それを見て高笑いする総統Dと天海山三兄弟。
なぜだ。なぜ笑う?どこかおかしかったか。
気にせず空中回転しながら降りてくるズバット。迎え撃つダッカー軍団。
大戦闘、と思いきや、天海山三兄弟のマシンガンで大爆発と大爆煙。
煙が消えた後には戦闘員が倒れているばかりで、総統Dも天海山三兄弟も、そしてズバットの姿も無かった。
撃たれまくって傷だらけのはずのズバットを心配して探す東条たち。
実は場所を変えて、天海山三兄弟と戦闘を続けていたのだ。
天海山三兄弟に撃たれながらも、爆発の中を悪に立ち向かい進むズバット。しかしついに倒れてしまう。
「ハッハッハッハッ!我ら三兄弟にかなうものはおりませんぞ!」
勝利を確信する三兄弟。とその時。
エンジン音とともに飛来するズバッカー!
そこから回転しながら飛び出したのは。
「ズバァット!」
ズバットだ!でもなぜ?
ズバットを探し続ける東条たちが見つけたのは海の上で逆さ吊りにされている天海山三兄弟。そこには、ズバットカードが。
“ 天、海、山、ダッカー極悪三兄弟 ご覧の通り ”
喜ぶおさむ少年。
「勝った。東条さん、ズバットは勝ったんだね」
遠くてカードの文字は読めないが勝ったことだけはわかる。しかし東条の顔は晴れない。
「いや、まだ総統Dがいる。それにズバットの制限時間はあと40秒間しかない」
さすが東条。ズバットの制限時間もしっかり把握している。制限時間を過ぎるとズバットスーツは機能停止してしまうのだ。
そのズバットは(またまた)海の岩場のてっぺんに立って、もう一つの岩場のてっぺんに立つ総統Dと対峙していた。
「俺の親友、飛鳥五郎を殺したのは貴様だな!」
「そうとも!奴は俺の正体を見破ったのでな!」
「俺も貴様が誰だかわかった!シルベールの作り方を覚えられたのは、貴様しかいない!」
「ハッハッハッハ!だが死んでは誰にも言うことはできまい」
互いにジャンプする両者。
空中で回転しながら交差すること2回。ズバットのムチがDの右手を捉える。ムチを引き合いながら岩場を跳び移る二人。
「死ねぇ!」
黄金に輝く巨大な銃をかまえる総統D。
発射する銃弾を受け続けるズバット。
「ダッカーーーー!キィィーークッ!」
両足でのドロップキックと見せかけて着地してからの前蹴り。
見事なフェイントにたまらず後方へ倒れこむズバット。
なおも襲いかかる総統Dに防戦一方のズバット。
しかし、総統Dとともにジャンプしてのキックで逆転、さらに互角の殴り合いが続く。
ズバットを探す東条たち。
「5分はとっくに過ぎてる。ズバットはどこなんだ」
スーツの機能が停止したらズバットは動けなくなってしまうのだ!
「あ!東条さん!」
おさむが岩場の陰に何かを見つけた。
全身金色で倒れているのは…総統D!
駆け寄りマスクをはぐ東条。
その素顔は…
「神竜…」
総統Dの正体は、国際秘密警察として悪と闘う仲間だったはずの神竜だったのだ。
すべてを悟る東条。
神竜はシルベールの化学式のメモを手にした時、式をすべて暗記していたのだ。
おさむがつぶやく。
「でもズバットは…」
付近の岩場に脱ぎ捨てられた真っ赤なズバットスーツ。
「相打ちでこの崖から落ちたなんてこと…」
海を見下ろす理沙。
そこに見えるのは岩場に打ち寄せる波だけだった。
飛鳥五郎の墓。
花を手向けるのは早川健。
生きていたのだ!
「飛鳥。お前の仇を とうとう取ったぜ」
東条たち四人も飛鳥の墓参りに訪れるが、そこで見つけたのは花と一緒に置かれたズバットカード。
“悪の大組織 ダッカー全滅!”
「ズバットだ!ズバットは生きていたんだね!」
喜ぶおさむ。
「とうとう、やったな。早川」
東条のつぶやきに驚くおさむとみどり。
「ええ?」「ズバットは、早川さんだったの?」
ズバットのことが心配なあまり早川のことはすっかり忘れていたふたりであった。
巨大な悪を倒し、見事に親友飛鳥五郎の仇を討った早川健は、エンディングが流れる中、夕焼けを背に受け、馬に乗って去って行くのであった。
[おわり]
という最終回でした『快傑ズバット』。
いつもながら長くてすみません。
でもすごいですねズバット。何度も何度も死んだかと思わせて、でもそのたび立ち上がって最後は悪を倒し、親友の仇を討つ。
悪やピンチに負けないだけでなく、整合性とか合理性とかの前でも決して自分を曲げない。正義のヒーローかくあるべし、ですね。
ちなみにホテル清風閣は伊東温泉のホテルのようです。
って静岡県じゃん!
放送しろよ!
というわけで。
ロケ地になったからといって放送されるわけではないという特撮界の理不尽さをこの歳になって思い知らされたところで今回はおしまいです。
次回をお楽しみに!ごきげんよう、さようなら!
コメント
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