はい。年末に観るべき映画といえばやはりこれ。『忠臣蔵』ですね。
ですよね?
何作かある『忠臣蔵』映画ですが、今回鑑賞したのは1958年公開の渡辺邦男監督版です。
大石内蔵助は長谷川一夫です。
市川雷蔵、勝新太郎、京マチ子、山本富士子らオールスター総出演の映画で、大映創立18周年作品だそうです。
私の世代だと誰が誰だかなかなかわからないのですが、鶴田浩二は鶴田浩二だなー、と思いました。役柄も。
いいなー、鶴田浩二。ずっとああいう人なんだろうなー。
3時間くらいの映画ですが、ホイホイ観られました。
「忠臣蔵」本来の物語はもっと長いのでしょうが、きっとうまい具合に各エピソードをまとめているのでしょう。
封建時代の、主君のためだとかどうだとかそういう話が大嫌いな私ですが、討ち入りが近づいてくる頃にはそんなことはどうでもよくなり、大石内蔵助はじめ浪士たちが、討ち入り前にそうと告げずに残していく人たちに別れを告げにいくシーンは泣けました。
それぞれ縁を切っていくんですね。
でもほとんどの人は「主君の仇討ちはしないのか」となじり倒します。そして罵られながら皆とぼけてその場を後にします。
観ているこっちは「察してやれよ」とか思うのですが、まぁその場で察しないから後で気づいた時が盛り上がるんですけどね。
瑤泉院(浅野内匠頭の妻)が討ち入りの血判状を見て大石内蔵助の真意に気づくシーンでは目頭が熱くなりました。
クライマックスはもちろん討ち入りシーンでですが、この頃の時代劇は刀が打ち合うカキーン!とかいう金属音とか、ドビュッ!とかいう肉が切れる音はないんですね。
それまでのお話もリアル志向ではなく人情志向だから、バランス的にはこのくらいでいいのかな、と思いました。
あと長谷川一夫があの言い回しで「おのおのがた、討ち入りでござる」って言うかと思ってわくわくしてたけど言いませんでした。
調べたらあれは、大河ドラマの『赤穂浪士』の時のセリフでした。
討ち入りの後はちょっぴりコミカルな人情展開を挟んで、浪士たちが人々に見送られて江戸の町を歩いて行っておしまい。
仇討ちを果たした高揚感のまま終わるようになってますね。
「年末といえば忠臣蔵」って言いたいだけで鑑賞しましたが、楽しめました。よかった。
というわけで。おのおのがた、よいお年をお迎えくださいまし。