秋のアート映画劇場2024『哀れなるものたち』“POOR THINGS” を観たら

noteでフォローさせていただいている方の紹介記事 →「世界と出会い、知性を身につけること、世界を変えうる自分であろうとすること|『哀れなるものたち』」を読んで、「こりゃ何だかすごそうだ、観たい」と思ったらディズニー+で配信されていたので鑑賞。
もうどうにも手強い映画でした。手強い映画ですがビジュアルがどこもかしこもそそるので集中して観ることができました。

哀れなるものたち

(↑Amazonプライムビデオリンクです。予告編が見られます)

ネタバレしないように、どこの映画紹介でも書かれている程度で内容を記すと、天才外科医の手術によって死から蘇った若き女性ベラの成長物語です。
まぁでも「天才外科医」のキャラクターもその「手術」も曲者っていうかなんていうか「誰が考えつくんだよこんなの」みたいで驚きます。設定がかなりグロテスクです。

「天才外科医」の生い立ちが徐々に語られますが、それがなかなか凄まじく「外科医」というより「マッドサイエンティスト」になってしまったのも頷けるというものです。いやホント、そりゃおかしくもなるよね、って生い立ち。
『スパイダーマン』でグリーン・ゴブリン役だったウィレム・デフォーが傷だらけの特殊メイクで演じてます。
ベラ役のエマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』のグエン役だったので、なんていうかここでも地味に『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』みたいなことになってたと言っておきましょうか。

もう少しだけ内容に触れると、

(ある女性の)死 →(ベラとして)再生(新生) →成長

という大筋になってます。
ベラが成長して世界を知り、能動的に関わっていくにつれ、それまでベラの保護者気取りだった男が情けなくなっていくのが哀れでした。現実にもありそうですよね、こういう逆転。地位を脅かされると感じた元保護者は被保護者の足を引っ張り狭い場所に閉じ込めようとしますが叶わず、ますます哀れになっていく、みたいな。女性でも子供でも、成長するものに追い越されたくないばかりに抑圧するというのは犯罪的で哀れで滑稽ということなのかな、と思いました。これは「万人肝に銘ずるべし」ですね。

この映画、「SF、コメディ」という分類になっていますが、「SF」というところは『フランケンシュタイン』要素(ひいてはスチームパンク味)でわかりますが、「コメディ」は、再生したばかりのベラの抑制のない行動や、男が情けなくなっていくのがちょっと笑えるとかそのあたりでしょうか。かなりブラックですが。
無理に分類、ジャンルにこだわらなくてもいいかと思いますが「SF、コメディ」だけだと何か足りないような気がします。肝心な何かが。

なかなかグロテスク(設定も描写も)なのと、性行為のシーンが多いので鑑賞注意であることは書き添えておきます。
特に性行為のシーンはsexを客観的に描いている(ベラが何かを確認しようとしている)ように見えるので、夫婦で観たら冷めてセックスレスになってしまうかもしれません。
って余計なお世話ですね。

と、あと蛇足ですが、この映画のエマ・ストーン、私の古い友人にちょっと似ていて、彼女はそのむかし織田無道に似てると言われていたので、エマ・ストーンと織田無道は似てるとか言われてないかと検索しましたが、何もヒットしませんでした。
すいません蛇足にも程がある蛇足でした。

織田無道て…

原作小説がありました。↓
哀れなるものたち (ハヤカワepi文庫)

レビューを読むとこれもなかなか手強そうですね、そして紙の本で読んだ方が良さそうな匂いもします。いつか読む。

blinknbpb
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