日々棒組み861 高三の娘とウルトラマンについて語ることなど

録画していた『ウルトラマンZ』をいっしょに観ていた娘がポツリとつぶやいた。
「ウルトラマンって誰が誰だかわっかんないよね」
令和2年のこの日本のウルトラマン事情において、それはもっともなことである。
初代からのウルトラマン歴であるお父さんにもわからない。
いや、初代から、だからか。

しかしここで、
「いやぁ、お父さんももうよくわかんないんだよねー」
などと言ってしまったら、せっかく芽生えた娘の「智」への欲求の芽を摘み取ってしまうことになる。
そりゃいかん。
そんなことしたら許されざる親だ。

そこで。
2階の本棚から『ウルトラマン全戦士超ファイル』(小学館刊)を抜き出して来て娘に手渡した。
「うあ、なにこれ」
そうだろうそうだろう。その反応は正しいぞ。
この本の表紙と裏表紙には初代から2017年までのウルトラマンが全て(たぶん)印刷されているのだ。
表も裏も銀、赤、銀、赤、銀、赤、ちょっと青、銀、赤、銀、赤、ほんのちょっと緑、でズラーっと並ぶウルトラマンたち。
そりゃ「うあ」だ。

しばらく本をながめていた娘が、
「こいつ、違和感ありすぎじゃね?」
と指さしたのはウルトラマンジョーニアス。
もともとはアニメ『ザ☆ウルトラマン』のウルトラマンだったのが、着ぐるみ化され、「ジョーニアス」と名づけられ、しれっと実写マンたちと並んでいる。
まぁ、ね。そういうやつだからね。違和感もあるよね。そもそも二次元だからね。
「こいつだけ星ついてるよ。おでこに星ついてるよ。胸にも星ついてるよ」
ああそうだよ。星だよ。星がついてるよ。そんなにおかしいかおでこに星。そんなじゃキン肉マン見たら笑い死ぬぞ。

娘はまたしばらく黙ってウルトラマンの並びを見つめていたが、突然ケラケラっと笑って言った。
「こいつ、コントかよ」
指さした先にはウルトラマンゼアス。
あはは。鋭いねあんた。

表紙を見終わった娘はペラペラと中のページを見始めた。智への欲求が走り出したようだ(ウルトラマンへの)。
「こいつ、目が近すぎない?」
はい。お父さん、それは誰のことだか見なくてもわかるよ。お父さんも前からそう思ってたよ。
娘が開いていたのは果たしてウルトラマンジャスティスのページであった。

娘はその後しばらく本を眺め、静かに本を閉じ、そして言った。
「でもね、私はウルトラマンメビウスが一番ウルトラマンっぽいと思うんだよね」
そうかそうかそう思うか。

『ウルトラマンメビウス』が放送されたのは2006年。君が3歳の時にいっしょに観ていたね。
お父さんが最初にウルトラマンを観たのも3歳から4歳だったよ。

テレビも紙の本も、古いメディアと言われるようになってしまったけれど、娘との楽しい会話のきっかけになってくれました。
それはつまり、受け取る側の姿勢で価値が上がったり、陳腐になったりするってことだよね。

今回娘との楽しい会話を媒介してくれたのはこの本↓

ウルトラマン全戦士超ファイル (てれびくんデラックス 愛蔵版)

なぜこの本が家にあるかは秘密です。「全〜」ってすごく惹かれるんですよねぇ。「全怪獣図鑑」とか。

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