小学校が舞台だということと、子供にだけ感じられるものを扱っているからでしょうか、いとうせいこうの『ノーライフキング』を思い出しました。
こういう話だよ、って説明するのが難しい漫画ですが、がんばって言葉にしてみます。

 

『GOGOモンスター』 松本 大洋 (著)

学校の中で、「あっち」の「かれら」とそのボス「スーパースター」の存在を感じている小学3年生の男子、立花雪と、そこへ転校してきた鈴木誠の関わりを中心に話が進みます。
誠は、言動が普通の子と違うので校内で浮いている雪と話すようになりますが、「スーパースター」の話はあまり好きではありません。
長く学校にいる間に雪のような子を何人か見てきた用務員のおじさんは何かと雪の面倒を見ています。
学校にはもう一人、5年生で、箱をかぶって登校し、あちこちに現れる、IQ というあだなの佐々木という少年がいて、雪よりもっと他の生徒から離れたところにいます。
雪は「スーパースター」たちを感じられなくなりつつあるのを恐れて、同じように「あっち」を感じているらしい IQ と行動を共にします。が…
というようなお話。

用務員のおじさんと誠の会話。

「うん。ユキがはじめてではないんだ。彼らの話には不思議と共通点が多くてね。
見えぬ者達は、イタズラ好きだが決して一線を越えないという事。
また彼らを統括する絶対的なボスが存在するという事。」

「スーパースター?」

「ユキはそう呼ぶね。
サスケと呼ぶ子もいればジャイアントと言った子もいる。
どの子も皆自分の知る最強の名を付ける。
あっち側のボス。
不思議な力を持つ子供のアイドル」

「今は3年2組の立花雪にスーパースターと呼ばれている。」

「信じてるんですか?」

「信じてないのかね?」

理解しようと思って読む漫画ではないと思いますが、その存在が誰にでも証明できるものでなくても、その子供が感じているのであればそれは「存在する」ってことでいいのかな、と。

終盤で雪は IQ と行動を共にしますが、途中で別れます。
ラストは疾走感のある爽やかなシーンで終わりますが、雪があそこにたどり着けたのは IQ と別れたからかな、と思いました。

それなりの解釈のヒントはありますが、あまり考えすぎずに味わえばいい漫画なのかな、と思います。コマ割りとかレイアウトとかもすごいけどそういうのも考えずにただただ読むのがいいと思いました。

でも自分の子供がユキのようだったら扱いに悩んじゃうかなぁ。
IQだったらもっと心配。自分の子がマコトだったらユキと遊ぶのを快く思うかな?というようなことは読後考えました。

書き下ろしの本だからでしょうか、装丁も凝っていて、A5判上製450頁余り、表紙から漫画が始まって(表紙から見返しに続きます)、天地・小口に濃いピンクの印刷、スリーブ式箱入りの贅沢仕様。安価な電子書籍判もありますが、これは紙の本として持っていたい一冊です。品切れみたいだけど。ちなみにスペイン語版、英語版もありました。装丁は不明ですが。