映画『白ゆき姫殺人事件』を観たよ

白ゆき姫が殺されたので容疑者は7人のこびとかと思いきや赤毛のアンでした。
そして、みんないろんなこと言うけど言葉通りに信じちゃダメよってそんな映画でもありました。

少し前に観た『桐島、部活やめるってよ』みたいに、同じ場面が何度か繰り返されて、そのたび意味が変わっていく。
ただ『桐島、部活やめるってよ』は純粋さや一生懸命さや未熟さとかでその角度を変えてたけど、こっちは嫉妬と嘘と保身と見栄と都合と悪意の妄想と、そういういや〜なものでがちゃがちゃ変わってゆく。
ただ、犯人以外のそういう「自分可愛さ」みたいのはわかるっちゃーわかる。そういうとこ自分にもあるから。

さらに、みんなの証言をもとに作られた劇中のテレビ番組が証言を部分的に使って組み立てられているので、さらに違う現実が出来上がってくる。映画を観てるほうは劇中のテレビ番組の視聴者よりは真実に近いポジションにいるような気になるけどそれもどんどん怪しくなっていく。関係者やら無関係者やらのツイートも多用されて前半は何が何やら。だって誰を信じていいのかわかんないんだもーん。

そうやって、見えてるような見えてないようなモザイク感に引っ張られて観続けてると、ようやく後半で容疑者アンが語りだし、ああこれで出来事がはっきり像を結ぶんだな、と安心しかけるがしかし。

容疑者アンの告白はそれまでのみんなの証言を時間に沿ってほぼすべてたどっていくので筋が通ってるように思えるが、空想癖のあるアンのことだからそれもどこか信じきれない。
被害者白ゆき姫の正体も徐々に明らかになるが、考えてみればみんな好き勝手にいろんなこと言ってるのに被害者白ゆき姫にだけは発言の機会が与えられず、みんなに言われ放題。
俺は思うんだけど被害者の「三木典子」って名前もけっこうからかわれたような気もするんだよね。さいごにちらっと学歴にコンプレックスを持ってたようなセリフがあったけど、番外篇で三木典子の告白も観たいような。
原作は読んでないけどそういうパートはあるのかな？
殺人事件以外はどこにでもありそうな、それだけにこわーい映画でした。