演奏は難しくない
J.S.バッハ
正しい鍵盤を 正しい時に叩けばいい
こんな、「それができないから難しいんだろ」と誰もが突っ込みたくなる引用からこの映画は始まります。
よく晴れた、きれいな田舎の風景の中を走るバス。
乗客はもうつまんなそーな顔をしたおっさんひとり。
なんでそんなにつまんなそーな顔をしているのかは徐々にわかってきますが、冒頭きれいな景色とつまんなそーなおっさんのシーンが続きます。
つまんなそーなおっさんの単調な生活に一人の男が現れ物語が動き始めます。
2013年のオランダ映画なのですが、これがオランディズムなのでしょうか、よくわからないまま状況が積み重なっていきます。
少し観ていると、「あ、そういう映画なのか」と思う瞬間が訪れますが、もう少し観ていると「あっ、そっちの映画なの」と思ったりするのですが、もっと観てると「え、そういう話だったの?」「あ、やっぱりそうなの」「え?え?それどういうこと?」みたいな気持ちになります。
なんでしょう。人生にはいいことも悪いこともあるしいいことは悪いことの原因にもなるし悪い出来事で傷ついた心がその傷ゆえの行動で癒しを得たりもします。
お話は一直線には進まず「雑味」を含みながら展開して、でも最後はあるところに着地します。
そこかよ。
と思いながらちょっとほろっとしちゃいました。
人生は単純でも一直線でもない。
だから悩み苦しむけれど。
だからこそ先へ進む価値や意味がある。
そんな気持ちになりました。
原題は“MATTERHORN”(マッターホルン)。大事な要素ではありますが、観終わった後ではちょっとそっけないタイトルに思えました。邦題が『マッターホルン』だったら観なかっただろうなぁ。
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邦題が『マッターホルン』だったら観なかっただろうなぁ。