ドキュメンタリー『MR.マクマホン:悪のオーナー』“Mr. McMahon”を観たら

このドキュメンタリーの主役っつーのか題材っつーのか餌食っつーのか、取り上げられてるのはビンス・マクマホン。長い間アメリカのメジャープロレス団体WWE(何度か名前が変わってますが)のトップだった人です。

日本のプロレスのファンだった私でもそこそこどういう人かは知っていました。昔はビンス・マクマホンJr.でしたね、“ジュニア”

MR.マクマホン:悪のオーナー

アメリカンプロレスにはそんなに興味はなかったのですが、日本のプロレスが好きで、雑誌など購読しているといやでもアメリカンプロレスの情報も入ってきました。
それらの知識と、何より日本で活躍したプロレスラーも出てくるので、このドキュメンタリーも楽しく観られました。
ハルク・ホーガンが超有名ですが、ホーガンより前に新日本プロレスに来ていたダスティ・ローデスに触れられていたのが懐かしかったです。
割と普通にシリーズの目玉外人レスラーみたいに来日したローデスでしたが、妙に人気者になってアントニオ猪木とタッグを組んだりしてましたね。
猪木が試合中に技とかではなく観客にアピールするようになったのはローデスと関わって以降だったように記憶しています。
でもこのドキュメンタリーによるとアメリカではローデスはあまり評価されてなかったみたいです。「そうなんだぁ」と思うと同時に「でも納得」感も。

その程度のアメリカンプロレス知識の私でしたが、その「知ってることもあり知らないこともあり」がいい具合だったのかとても楽しく視聴できました。
特にライバル団体WCWとの争いは興味深かったですね。
もう、視聴率でも興行でも、勝つためならなんでもやる。
そして「勝つ」イコール「金が儲かる」なんですよね。もう清々しいくらいビジネスファースト。
一時期WCWに負け続けていたマクマホンWWEは観客を取り戻すためにどんどん下品になっていきます。この辺とても興味深いです。下品になればなるほど観客は集まってついにWCWに勝ち始めます。

ビジネス(金儲け)を追求していくとどこまでも「下品」になる。面白い。YouTubeやSNSでも似たようなことが起きてますよね。お金のためならどこまでも下品になっている。ただレスラーたちは当時を振り返って口々に「今ならできない」って言ってました。

あと、ハルク・ホーガンが日本で活躍していた頃に比べるとどんどん人相が悪くなっていったのは悲しくもあり、そこに人生ありみたいな複雑な気持ちにさせられました。いや、もちろん歳のせいもあるだろうけどそれだけじゃないところが見えてしまうところがこのドキュメンタリーの怖いところかな、と。

巨大なマクマホンWWEの物語、光は目が眩むほど眩しく、闇は恐ろしく深くて暗いと思いました。桁外れの大金が動く世界ってホント怖い。

『MR.マクマホン:悪のオーナー』を観終わったらこちら進められました。

『レスラーという生き方』“WRESTLERS”

これもアメリカのプロレス団体のドキュメンタリーですが、こちらはOVW(オハイオ・バレー・レスリング)という小さな団体。
なにしろ500枚以上売れれば儲けが出るというペイパービューのチケットが73枚しか売れなくて頭を抱えてる、そんな団体。
興行の映像を見ても狭い客席に空席が目立つ、そんな団体。

全7エピソードの4まで観ました。こちらも面白いです。
団体のリーダーは「物語が全てなんだ」と語り、カメラの前で試合の流れを詳しく打ち合わせてます。そこではレスラーも一緒にアイデアを出してます「ここで振り向いてコーナーポストに激突する」とか。「ケーフェイ」も何もあったもんじゃありません。

でもそれが全て「嘘」なのかっていうとそうでもなく。「物語」をリアルに見せるために「事実」を混ぜたりします。本当に仲の悪いもの同士の抗争や、実際の過去の不幸を織り込んだり。
この辺りはWWEも同じですね。つまり客を呼ぶためには(ほぼ)なんでも利用する。

この、虚実がドロドロ混じり合って、華やかな「虚」を観てると思ったら「実」を刃物のように突きつけてくるプロレスの世界。大人になってもプロレスファンの人はそういうところを楽しんでるんじゃないかとちょっと思いました。

そんなの日本のファンだけかな。

blinktasu
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