令和の今こそ必読な漫画『バレエ星』(谷ゆき子)を読んだら

「超展開バレエマンガ」とはよく名付けたな、と。そこに期待して読みました。
確かにツッコミどころは多いのですがなんでしょう、昭和生まれだからでしょうか、そんなに無理なくというか特殊な心構え不要で読み進められました。

バレエ星 (立東舎) Kindle版

小学館の学年誌で連載されていたそうですが、『小学一年生』で連載中は『バレエぼし』、『小学二年生』から『バレエ星』になりました。読者の漢字学習に合わせていたのでしょう。

主人公のかすみちゃんはバレリーナのお母さんと幼い妹のああちゃん(途中からアーちゃん表記)と楽しく暮らしていましたが、お母さんが病気になって施設で暮らすことになりました。
というところからお話は始まります。
1月号から連載開始ということで世間はお正月です。
でもお母さんは入院中。姉妹は寂しく施設に帰るのでした。

その後、これでもかってくらいの苦難がかすみちゃんとああちゃんに襲いかかります。助けてくれる人もいますが、人間失格みたいなやつらに何度も足を引っ張られます。それこそ何度も何度も何度も何度も。バレエ界は本当に怖いところです。ロクな奴がいません。
そんな展開に引っ張られてどんどん読んじゃいます。

この本、原稿が全て紛失していたとかで、掲載雑誌をスキャンしての復刻になっています。
そのため画質的には残念なのですが、雑誌掲載時の読者のお便りとか来月の付録のお知らせとかも載っていて、画質の悪さを補って余りあるものになっています。読者の似顔絵コーナーもいくつかあって、ついひとつひとつ見入ってしまいました。みなさんおじょうずですよ。
「小学◯年生はみんな読んでるバレエ星」とかページの横っちょに印刷されているのもつい読んじゃいます。「みんな読んでる」と言いながら別のところに「お友だちにもおしえてあげよう」とか書いてあったりします。

『小学一年生』から『小学四年生』まで続いた連載は最終二話で大団円を迎えます。これが快感なハッピーエンド。なかなかの力技にも思えますがいいんです、かすみちゃんが幸せならば。

昭和ならではの漫画だとは思いますが、不幸や意地悪に負けない、敵を許す、愛する者を守る、という大事な精神は、令和の子供たちにこそ読んでもらいたいと本気で思いました。

「かなしいバレエまんが」、他にも復刻されていました。

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